今回は、新しい技術「 WebSocket 」をつかって
現在の課題を解決してみます。
■現在の課題■
・字幕が届くまでに遅れがある
・字幕通信にかかる通信料の問題
・PCにかかる負荷が大きい
まず、字幕の遅れです。
現在のITBCは、字幕を一定期間ごとに読み込みにいくことで
最新の文章を表示できるよう、作られています。
つまり、「一定期間の遅れ」が発生します。
この遅れを無くすためには、読み込み間隔を早くすれば
ある程度改善されますが、その場合には通信量が増すため
結果的に「インターネット使用料」が高くなります。
ユーザにとってはリアルタイム性の向上と
通信負担の増加は背反する課題というわけです。
また、読み込みが増えれば増えるほど、
処理するパソコン(ITBCが動いているPC)にも
負荷がかかります。
安価なPCで処理したいというニーズも多いですから、
この点も課題になるわけです。
■解決手段■
根本的な問題は、「ブラウザは字幕を受信したら終わり」ということです。
次の字幕を受信するには、何らかの方法で次の字幕を取りに行く
作業をする必要があります。現在は、JavaScript をつかって
自動的に再読み込みするため、現在のような字幕受信が可能です。
では、「字幕を受信し続ける」ことが可能になれば、
再読み込みが不要になり、課題が解決できるはずです。
今回は、 HTML5規格の一部として検討されていた
WebSocket という通信規格を使って実現します。
(現在はまだドラフト規格で、HTML5から切り離されて検討されているようです)
WebSocket は、ブラウザが連続してデータをやり取りできる
国際的な(検討段階の)通信規格です。
ITBC v2.40リリース候補5(RC5) は、このWebSocket機能を搭載しました。
この機能をつかって、リアルタイム字幕配信をやってみます。
<試す場合はこのように設定してみてください>
(1)WebSocket用のレイアウトを読み込みます。
「配信画面をデザイン」より選んで、ダブルクリックします。

(2)WebSocketを有効にします。
詳細設定→通信→WebSocketから、設定を有効にします。

※字幕に関する通信をすべて配信するようになりますので、
入力者名なども配信されます。気を付けてください。
※今後、配信内容は選択できるようにする予定です。
(3)字幕を受信します。
ブラウザで開いてみてください。
※最新技術のため、対応するブラウザが必要です。
Google Chrome の最新ベータ版、Safari 最新版、
iPad/iPhone用iOSの最新ブラウザでお試しください。

■結果
字幕の受信遅れは、同一PCで見る限り ほぼ同時です。
PC→Softbank 携帯電話に字幕配信する場合に、通信回線の遅れが
0.5〜1秒ありますから、実際にはその程度の遅れで字幕配信が可能です。
(現在読み込みを1秒設定、通信遅れ補正OFFの場合、字幕配信に2~3秒かかります。
この技術を使えば、1/2程度に抑え込むことが可能になります)
通信量の面です。
<前提>
・1回の字幕配信に 3KB(3072 bytes) かかる
(字幕文字列は170文字/分 = 512 bytes とする)
・1秒ごとに読み込み
・通信量は 0.2円/パケット 128byte/1パケット ...ソフトバンク通信量を想定。
通常は、1回に 3072 byte/128 byte = 24パケット= 48 円かかります。
1分間で 1,140パケット = 288円、1時間で 86,400パケット=17,280円かかります。
学校などで使う場合、授業1コマ受けるだけで、高額なパケット代になります。
もちろん、パケット定額に入るケースが多いと思いますが、
常に上限に張り付いてしまいます。
WebSocketを使う場合には、
1分に 512 byte/128 byte = 4パケット
字幕が 1分に10回送られたと想定し、WebSocket通信 10パケット
= 1分間に 14パケット = 2.8 円、1時間で 840パケット=168円かかります。
この技術をつかえば、通信量を 1/100 程度まで抑えることができます。
実用レベルまで作りこむと、文章訂正など、もっと細かな通信をするために
通信量は増えますが、それを見込んでも 1/50 程度には抑えられると思います。
今後、正式に通信規格が確定すれば、もっと利用できる環境が整うと思われます。
その時が来るまで、この機能をつかって課題や環境を整えていければとおもいます。
■展望■
このWebSocket機能は、受信機間での情報やり取りも可能にしてくれます。
ゆくゆくは、HTML5機能と組み合わせ、iPhone同士で手書きデータを共有したり、
ブラウザから字幕入力することすら可能になります。
要約筆記の環境を一新する技術になることは まちがいないでしょう。
今後も、標準的な規格を取り入れ、汎用的なシステム構築をしていきたいと思います。